アルバム情報

  • 発売年:1978年
  • 収録アルバム:Don't Look Back(ドント・ルック・バック)
  • アルバム最高位:全米1位
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2ndから3rd発売まで12年

Bostonは、1970年代の後半から活躍したアメリカのプログレッシブ・ハードロックの代表的なグループ。

曲のクオリティの高さだけでなく、アルバムを出すスパンが長いことも有名で、デビューアルバム「幻想飛行」から4thアルバム「ウォーク・オン」を出すまでに18年もかかっています。

  • 1976年 - 1st「Boston(幻想飛行)」… 全米3位 2000万枚
  • 1978年 - 2nd「Don't Look Back」… 全米1位 800万枚
  • 1986年 - 3rd「Third Stage」… 全米1位 400万枚
  • 1994年 - 4th「Walk On」… 全米7位 100万枚

1stから2ndまでは2年しかかかってないけど、2ndから3rdアルバムまでは12年。

そしてその次のアルバムまでまた8年…。

"A Man I'll Never Be(遥かなる想い)" は1978年に発売された2ndアルバムの4曲目に収録されている曲。

全米で31位を記録した壮大なバラードですけど、こんなにドラマチックで感動的なバラードがランキングではそれほど上位にならなかったことに驚きです。

  1. Don't Look Back
  2. The Journey
  3. It's Easy
  4. A Man I'll Never Be(遥かなる想い)
  5. Feelin' Satisfied
  6. Party
  7. Used To Bad News
  8. Don't Be Afraid

実質トム・ショルツのソロプロジェクト

この "A Man I'll Never Be" が収録されている2ndアルバム。

高校生の頃に近所のレンタルショップで借りて一度聴いてたんですけど、その時の私はあまり凝った曲は好きじゃなかったからなのか、たぶん冒頭の1曲目、2曲目くらいまでで聴くのをやめてしまってたような気がします。

その後、歳をとるにつれてもっといろんなジャンルの曲を聴いてみよう!と思うようになった私

それで洋楽を聴きあさっていた時にラジオでたまたま耳にしたのが、1994年に発売されたボストンのシングル "I Need Your Love" で、美しく重厚な楽曲にのめり込むことに。

これをきっかけにボストンに興味を持ち、高校生の時に聴いたアルバムをもう一回ちゃんと聴いてみたくなって借りたアルバム「ドント・ルック・バック」に収録されていた曲が、"A Man I'll Never Be" でした。 

比較的に大衆受けしやすい曲が多かったため、ジャーニー、TOTOなどのバンドと共に「産業ロック」と批判を受けることもあったボストン。

CDショップでは普通にポップとかロックのコーナーに置かれていたりすることもよくありました。

詳細にカテゴライズするとすれば「プログレッシブロック」ということみたいですけど、地方ではそんなに細分化して棚分けしてるCDショップはないですからね…。

ボストンのフロントマン、トム・ショルツはたいていの楽器を自分で演奏できるスーパーマルチな才能の持ち主。

デビューアルバムのデモテープはトム・ショルツがほとんど演奏し、ボーカルだけブラッド・デルプに歌わせるというレコーディングスタイルでした。

ライブを行うことでアルバムのプロモーション活動を行い、売り上げにつなげるというのが当時の手法。

レコーディングはトム・ショルツとブラッド・デルプさえいれば可能だったかもしれないけど、ライブは2人だけではできない。

他のメンバーは当初ライブをやるためだけに集められたっていうんだから、実質的にはトム・ショルツのソロプロジェクトみたいなもんだったんですね。

繊細で重厚なラブバラード

この曲はトム・ショルツ作詞作曲で、オルガンなども使われて演奏されている重厚なラブバラードです。

プログレッシブぽさもある6分30秒を超える長尺曲ですが、曲の途中まで声を感情的に張り上げることはありません。

繊細でいて力強く鳴り響くピアノとギターの音色、そしてブラッド・デルプのクリアなハイトーンボイス。

サビに入る前の泣きのギター、ラストには荘厳に鳴り響くオルガンの音。

"A Man I'll Never Be" には、わかりやすくキャッチーな部分はないかもしれないけど、ギター、ピアノ、オルガンの旋律に美しさを求める人であれば、ズブズブに浸り続けることのできる名曲だと思います。

ボーカルも叙情的で素晴らしいんですが、ボーカリストだったブラッド・デルプが2007年に一酸化炭素中毒で自ら命を絶ってしまったことが残念です…。

歌詞に関してはタイトルが 「A Man I'll Never Be = 僕が決してなることのできない男」であることからもわかるように、どちらかといえば内省的な歌詞。

彼女が求めているような男には自分は決してなることができない…。

だから辛いけど離れ離れになろう…。

直訳じゃなくてニュアンスですが、大人の男女の別れみたいなものがそんな感じに歌われています。

女々しくも切ない歌詞

この曲の歌詞は、男の女々しさみたいなもので埋め尽くされてます。

別れを悲しんだ男の気持ちをストレートに歌った洋楽はたまに聴くことはできますけど、この曲はその中でもトップレベル。

「これ以上は強くはなれないよ…」

「僕が努力してきたことなんて君には伝わらないんだ…」

私が好きでよく聴く日本のバンド、T-BOLANも女々しい歌詞が多いけど、それと同じように男の悲哀を強烈に感じました。

なんだかんだで、自分が女々しい男だからこそこういった歌詞が心に響くんでしょうね。

オフコースの "愛を止めないで"

小田和正さんがオフコース時代に作詞作曲した1979年の曲 "愛を止めないで" は、"A Man I'll Never Be" にインスパイアされて作られたと言われています。

"愛を止めないで" は感動的ではあるけどポップな曲で、重厚といった感じはあまりしません。

でもなんとなく、Aメロの部分や、ところどころで聴けるギターソロにチラホラと "A Man I'll Never Be" と似てるかな?って部分はあるかも。

もしかしたら偶然似てしまっただけなのかもしれませんけど…。

でももし事実なんだとしたら、こんなに自分の解釈で "A Man I'll Never Be" を自分流に活かしてしまう小田和正さんの才能はやっぱりすごい。

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