アルバム情報
- 発売年:1972年
- 収録オリジナルアルバム:Honky Château(ホンキー・シャトー)
- アルバム最高位:全米1位、全英2位
イギリスで最も有名なピアノマン
前回はアメリカでもっとも有名なピアノシンガーソングライター「ビリー・ジョエル」でした。
なので、今回はイギリスで最も有名なピアノシンガーソングライターの「エルトン・ジョン」です。
ちょっと前にエルトン・ジョンの自伝的映画「ロケットマン」を見たばかりなので、今回はその映画のタイトルにもなっている1972年のバラード "Rocket Man(ロケットマン)"について書いてみました。
日本でエルトンジョンと言えば、有名な曲は "YOUR SONG(僕の歌は君の歌)" や "Goodbye Yellow Brick Road(グッバイイエローブリックロード)" だと思います。
でも、"YOUR SONG" のシングルの最高位は全英7位、全米8位。
"Rocket Man" は全英2位、全米6位なので単純に順位だけで見れば "Rocket Man" が上なんですね。
- ホンキー・キャット (Honky Cat)
- メロウ (Mellow)
- 自殺の予感 (I Think I'm Going to Kill Myself)
- スージィ (Susie(Dramas))
- ロケット・マン (Rocket Man (I Think It's Going to Be a Long Long Time))
- サルヴェイション (Salvation)
- スレイヴ (Slave)
- エイミー (Amy)
- モナ・リザ・アンド・マッド・ハッター (Mona Lisas and Mad Hatters)
- ハーキュリーズ (Hercule)
ライブエイドのDVDに収録
若いころ、AmazonでいろいろなアーティストのDVDを検索しまくって注文するくらい洋楽のDVDにハマっていた時がありました。
その時に手に入れたのがあの伝説のチャリティーライブ、「LIVE AID(ライブエイド)のDVD。
飢餓に苦しむアフリカを救うために世界中のアーティストが立ち上がった世界最大級のイベントである「LIVE AID」。
マイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーによって作詞作曲された "We Are The World" がテーマソングと言えば知らない人はほとんどいないと思います。
イギリスのウェンブリー・スタジアムでのライブに収録されていたエルトン・ジョンの曲のうちの一つが "Rocket Man" でした。
その時までは "Rocket Man" を聴いたことはなかったので、DVDに付属してある収録曲のリストを見た時は、
「 "ユアソング" とか "クロコダイルロック" みたいなもっと知ってる曲が入ってたらよかった…。」
って感じにガッカリましたが、いざ "Rocket Man" を聴いたらイントロから引き込まれました。
職場という名の宇宙
宇宙飛行士を主人公にした名曲に1969年のデヴィッド・ボウイの全英No.1ソング、 "Space Oddity(スペース・オディティ)" があります。
"Rocket Man" も宇宙飛行士を主人公にした曲で、宇宙を漂っているかのようなメロディにはリンクする部分があるけど、歌詞の雰囲気は全く違います。
スペース・オディティは、宇宙に旅立ち、英雄となったトム少佐の視点で歌われています。
でも、スペース・オディティ発売から11年後に発売された、こちらも全英No.1に輝いた "Ashes to Ashes(アシェズ・トゥ・アシェズ)"では、トム少佐が実は宇宙飛行士じゃなくて、ただの麻薬中毒だったってストーリーで歌われた時には驚きました。
一方の "Rocket Man" は、歌詞の日本語訳を知ってからさらに気に入ったパターン。
ちなみに、ロケットマンていう単語は、少なくともこの楽曲が作られた時点ではそんな英語は辞書に載ってませんでした。
宇宙飛行士、つまり英語だとastronaut(アストロノート)が主人公。
主人公=「宇宙飛行士」、職場=「宇宙」、家庭・自分の家や部屋=「地球」に例えた歌詞になってます。
仕事に行くことを「飛び立つ」と表現したり、
家や妻が恋しいことを「地球が恋しい」と表現したりしています。
「火星は寒すぎて子育てに向いてる場所じゃない」なんて歌詞も。
実際の宇宙飛行士のことともとらえられる歌詞。
でも曲の後半にある、「これはただの僕の仕事。週に5日のね…。」という部分。
もともと私はSFものの映画、特に宇宙飛行士ものが好きでした。
そんなこともあってか、仕事に出かけないといけない時の心情を上手く宇宙飛行士になぞらえたこの日本語訳を知ってから、この曲がさらに好きになりました。
宇宙を漂っているかのようなメロディ
曲調としては圧倒的な演奏だとか、サビで感情を爆発させるとか、そういう系ではないです。
ピアノとギターのメロディにのせて、曲の出だしは「飛び立つ前の緊張感」を表すような、ややシリアスな曲調。
それ以降は「安定飛行に入って宇宙を漂っている」かのように少し優雅ともとれる曲調になってます。
曲調は優雅にゆったりとしている反面、歌詞からは(仕事が終わるまでは)もうしばらく地球には戻れない悲しさもにじみ出てて、何とも言えない切ない気持ちになります。
「ロケットマンは一人で寂しく燃え尽きるんだ…。」と歌う、曲のラスト。
宇宙(=職場)に出て燃え尽きるって…。
仕事で疲れている方には染みるんじゃないでしょうか?