①収録アルバム情報
- 発売年:2006年
- 収録アルバム:Costello Music(コステロ・ミュージック)
- アルバム最高位:全英2位、全米48位
②2007年の『iPod』CMソングで一気にブレイク
スコットランドの音楽都市グラスゴー出身のスリーピースバンド、The Fratellis(フラテリス)はデビューアルバム「コステロ・ミュージック」がUKでいきなり3週間連続で2位になる大ヒットを記録 。
日本でサマーソニックに出演した時には、観客が押し寄せすぎてフラテリスのステージに入場規制がかけられたほどの人気でした。
第1世代が発売された2001年頃から数年間にわたり第ブームだったポータブル音楽プレイヤー『iPod』。
そのCMソングはカッコいい曲だったりオシャレな曲だったり、起用されたのはとにかくセンスの良い曲ばかり。
U2、コールドプレイ、ビートルズ、グリーンディのように世界中の誰もが知っている有名バンドの楽曲が使われることもあったけど、iPodのCMソングはすでに世界的にメジャーになっているミュージシャンというよりは、新しい音楽に敏感な人だけが知っているミュージシャンが抜擢される傾向にあったような気がします。
日本だけで20万枚も売り上げたフラテリスの「コステロ・ミュージック」の2曲目に収録されている「Flathead(フラットヘッド)」も、フラテリスがまだデビュー直後だったにもかかわらずiPod&iTunesのCM曲に抜擢された曲。
当時、世界中で大ブームになったiPodのCMのインパクトもあってか、バンド結成からわずか1年ほどで大ブレイクしてしまったんだからCMのタイアップの影響力はホント絶大ですね。
曲の方はというと、ビートルズ初期のエネルギッシュでポップな名曲「ア・ハード・デイズ・ナイト(A Hard Day's Night)」にも通ずるところがあるようなポップで陽気なガレージロック風。
ちなみにタイトルになっている「フラットヘッド」は直訳すると『まぬけ』とか『バカ』って意味。でもこの曲の邦題はなぜか「気取りやフラッツ」というちょっとよくわからないタイトルになってます。
でも曲名やアルバムタイトルにこの手の少しダサい邦題をつけるパターンは昔から意外と多いんですよね。
- 「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」… A Hard Day's Night (ザ・ビートルズ)
- 「お説教」… Walk this way (エアロスミス)
- 「あの娘にアタック」… Tell Her About It (ビリー・ジョエル)
- 「炎のロックンロール」… Keep Yourself Alive (クイーン)
- 「高校教師」… Don't Stand So Close To Me (ザ・ポリス)
- 「恋のピンチヒッター」… Substitute (ザ・フー)
- 「びっくり電話」… How Dare You! (10cc)
10ccのアルバム「How Dare You!」は直訳すると「よくもそんなことができるな!」ってのが本来の意味。
なのに邦題は「びっくり電話」って・・・決めた人はセンスがぶっ飛んでますね(笑)
↓Youtube【The Fratellis - Flathead (US Version)】
↓Songwriter(s) - Jon Fratelli
Just because she feeds me wellAnd she made me talk dirty in a pink hotelDoesn't mean she's got eyes for meShe might just want my bones you seeHey flathead don't you get meanShe's the second best killer that I ever have seenThey don't come much more sick than youI could go on if you want me toIt's just so wrong so very nice I told youOnce and you killed me twiceI saw you one time at the back of the clubChewing on glass and a ticket stubI heard they kicked the boy till he bledThen stood and said oh my god till she saidBara bap bara ra ra ra bara bap bara ra ra ra...Everybody knows you're the one to callWhen the girls get ugly round the back of the wallJosephine says you got a bleedin noseShe's taking it with her wherever she goesHey flathead don't check me inWell hers is a tonic and mine is a ginThey don't come much more slick than youI'd drive your car if you ask me toSaid the boy's not right in the headSo he stood and got a kickin instead till she saidBara bap bara ra ra ra bara bap bara ra ra ra...
③初期衝動のようにエネルギッシュなガレージロック!
「フラットヘッド」から感じ取れるのは、圧倒的な高揚感と爆発的なエネルギー。
抑圧された初期衝動のようなトーンのギターに合わせて歌い始まった次の瞬間、感情を一気に解放したかのように瞬間的に激しくなる演奏とジョン・フラテリのボーカルであっという間にボルテージはMAXに!
私はダンスを踊ったり音楽に合わせて体を動かしたりするのは苦手だけど、そんな私でもドライブ中に聴いていると自然と首や足を動かしてしまうほど「フラットヘッド」はノリがいい。
さすがに人の目が気になるから車の中で思いっきりリズムをとったりはしないけど、頭の中ではめっちゃ踊り狂ってます。
ノリのいいガレージロックって感じの音楽はそれなりに聴いたことはあったかもしれないけど、この曲のように冒頭の30秒で完全にノックアウトされるくらい勢いがある曲にはなかなか出逢えません。
バンド結成から1年程度でこのクオリティとは・・・センスの塊です。
サビの最後のコーラス「バラッバッバラーラーラーバラッバッバラーラーラー」は一度聴いたら覚えちゃうくらいシンプルでポップなので、気が付くと頭の中でリフレインさせたくなるような中毒性がありますね。
④アルバムにはキラーチューンが目白押し
フラテリスのデビューアルバムは「フラットヘッド」のインパクトがあまりにも強いので隠れがちではあるけど、他にもヒットしたシングルやおすすめできる曲がたくさん収録されてます。
特におすすめなのが1曲目の「Henrietta(ヘンリエッタ)」。人によっては「フラットヘッド」以上に好きになるかもしれないくらいのポテンシャルを持ったキラーチューンです。
↓Youtube【The Fratellis - Henrietta (Official Music Video)】
それ以外にも、全英5位のヒットを記録した「Chelsea dagger(チェルシー・ダガー)」や、同じく全英で9位になった「Whistle for the choir(ホイッスル・フォー・ザ・クワイア)」を聴けばアルバムが大ヒットしたのも納得すると思いますよ。
ちなみにメンバー全員、姓が『フラテリ』になっていますが兄弟というわけではなくて、ベースのバリー・フラテリの母親の姓を名乗ってます。
『Fratelli』はイタリア語で『兄弟』という意味らしいので『俺たちは兄弟だぜ!』みたいな結束の強さを表したかったのかもしれません。
でも2009年から2013年までは兄弟ゲンカでもしていたのか、活動停止してたみたいですけどね。