①異次元レベルに透き通った…
ペット・ショップ・ボーイズは1981年にニール・テナント(ボーカル)と、クリス・ロウ(キーボード、シンセサイザー)の二人によって結成されたエレクトロ・ポップ・デュオ。
ペット・ショップ・ボーイズというグループ名はお互いの共通の友人がペットショップで働いていていたことが由来になっているそうな。
なんと言ってもペット・ショップ・ボーイズ最大の魅力は不純物ゼロで異次元レベルに透き通ったニール・テナントの歌声。
一度耳にしたら決して忘れられなくなるほど神秘的な響きを持ったその声で、離れた場所にいる恋人への想いをハートウォーミングに歌い上げたのが今回の曲「ホーム・アンド・ドライ」です。
自分の愛する人は離れた土地で夢を叶えようと頑張っている。
その愛する人が目的を達成させて自分のもとに無事に帰ってきてほしい、早く会いたい、という感傷的な気持ちを切々と歌いあげたポップバラードで、2002年に発売されU.Kで14位になるヒットを記録しています。
一度聴いたら覚えてしまうくらいシンプルでキャッチーなメロディ。歌詞の世界観もイメージしやすくて入り込みやすい内容だと思うのでシンセポップは好きだけどペットショップボーイズはあんまり…と思っていた人も高確率でハマっちゃうかも。
↓Youtube【Home and Dry】
②歌詞の和訳
Songwriter - Neil Tennant, Chris Lowe
So my baby’s on the roaddoing business, selling loadscharming everyone therewith the sweetest smileOh tonightI miss youOh tonightI wish youcould be here with mebut I won’t see you‘til you’ve made it back againHome and dryHome and dryThere’s a plane at JFKto fly you back from far awayall those dark and frantictransatlantic milesOh tonightI miss youOh tonightI wish youcould be here with mebut I won’t see you‘til you’ve made it back againHome and dryHome and dryFar awaythrough night and dayyou fly long haul tonightCome to meyou know I’ll be herewhen you call tonightOh tonightI miss youOh tonightI wish youcould be here with mebut I won’t see you‘til you’ve made it back againHome and dryHome and dry
③ホーム・アンド・ドライの語源は…
「ホーム・アンド・ドライ」はイントロから終わりまで同じリフが延々と続く、かなりシンプルな構成の曲。
だけど淡々と繰り返し奏でられるメロディは無機質さを漂わせながらもどこか悲しげで、一度聴いたら耳から離れないほど印象的。
ただ、逆に言えばアルバム「リリース」の収録曲はホーム・アンド・ドライのように「歌うこと」を意識した曲が多いので、ダンサブルでノリのいいクラブ系のペットショップボーイズを期待すると肩すかしをくってしまうかもしれないですけど…。
そんなアルバムの中でも特に「ホーム・アンド・ドライ」は離れたところで働く彼女に早く会いたいと願う主人公の気持ちを綴った歌詞を切々と歌った曲。
曲のタイトルになっている「ホーム・アンド・ドライ」とは主にイギリスで使われる言い回しで、目的を達成する・達成目前で安心する、という意味なんだそうです。
小雨が降ることの多かったイギリス。外での仕事を早く終わらせて家に帰る(ホーム)ことができれば濡れた服を乾かす(ドライ)ことができる、ということが語源なんですね。
④延々と繰り返されるリフ&感傷的なギターソロ
当時、地方から上京して通っていた大学を卒業する直前の春に聴いていたという、私にとってかなり思い入れの深い「ホーム・アンド・ドライ」。
そういう思い出補正もあって、とにかくこの曲は今でもペット・ショップ・ボーイズの中で一番好きな曲のままです。
とめどなく繰り返されるリフの中毒性は言わずもがなだけど、さらにいい味を出しているのがザ・スミスのジョニー・マーによる感傷的なギターの音色。
1番と2番を繋ぐ短いギターソロと、ラストの哀愁を帯びた儚げなギターソロは何度聴いても胸に染みるものがあります…。
過去のヒット曲「New York City Boy」「Go West」のような明るく弾けるような中毒性はないけど、「ホーム・アンド・ドライ」ではレトロで心温まるリフとギターの音色を前面に押し出したペットショップボーイズ。
それまでのペットショップボーイズには正直ダンスミュージックやハウスミュージックの印象しかなかったけど、この曲にはいい意味で裏切られました…。
⑤ベストアルバム収録の「Flamboyant」もおすすめ
ホーム・アンド・ドライが収録された「リリース」の翌年に発売されたベストアルバム「PopArt(ポップアート)」。
そこに新曲としておさめられた2曲のうちの1曲、「Flamboyant(フランボヤント)」もかなりおすすめです。
ポップアートからの1stシングルに選ばれたのは、新曲として収録されたもう1曲「Miracles(ミラクルズ)」だったけど、私としては断然フランボヤンの方が好みでした。「Heart」「It's alright」「Domino Dancing」あたりのノれる曲が好きだと同じ感想になるかもしれません。
ちなみに、あまり耳なじみのない不思議なこの曲名は英語のFlame(フレイム=炎)が語源になっていて、『燃えるような』『華やかな』『鮮やかな』とかそういう意味らしいです。
↓Youtube【Pet Shop Boys - Flamboyant on Top of the Pops on 19/03/2004】
⑥癒しの正体は『1/fゆらぎ』?
『ニール・テナントの声には、徳永英明と同じく癒しの効果があると科学的に証明されている』
雑誌?ネット?CDのライナーノーツ?なんだったかはハッキリ覚えてないけど、昔そんな風に書いた記事がありました。
ちなみに徳永英明さんの声が持っている癒しの効果っていうのは『1/fゆらぎ(えふぶんのいちゆらぎ)」と言われるもの。
私なりに調べてみたんですが、パワーが周波数fに反比例するゆらぎ?とかなんとかかんとかでちょっと意味がわかりませんでしたけど、要は人間にとって最も心地いいゆらぎ(振動)を持った声ってことなんでしょうね💦
身近なところではどんなものがあるのか、『1/fゆらぎ』を持つとされるものを調べてみました。
- 人の心拍の間隔
- ろうそくの炎の揺れ
- 電車の揺れ
- ホタルの光り方
- 木漏れ日
これを見ると音だけに限ったことではなくて、視覚だったり、体全体だったり、ゆらぎの感じ方は色々あるみたいですね。
もしこの『1/f ゆらぎ』をニールの声が持っているのであればニールの歌声を聴いていると心が落ち着くことにも納得。
どんなに年齢を重ねても衰えない、ニール・テナント、徳永英明、この二人の美声。
あんな声で歌えたら、歌うことが楽しくて楽しくてたまらないでしょうね💧