①もはや説明不要の世界的…
もはや説明不要の世界的パンクロックバンド、グリーン・デイ。2009年にリリースしたアルバム『21st Century Breakdown(21世紀のブレイクダウン)』は、世界14カ国で1位を獲得し、翌年のグラミー賞ではエリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッド(Live from Madison Square Garden)やU2(No Line on the Horizon)といった名だたる大物をおさえて、最優秀ロックアルバム賞を受賞しました。
このアルバムは、グロリアとクリスチャンという若者が混乱の時代を生き抜く姿を描いたコンセプト作品。その中で「¡Viva la Gloria!」は、理想や希望の象徴である“グロリア”にスポットを当てた、物語の核を担う一曲です。
「¡Viva la Gloria!」は、その構成がとてもドラマチック。静かなピアノによるイントロから始まり、約1分後にはグリーン・デイらしいパンクサウンドが一気に爆発します。この静と動の対比が鮮やかで、ビリー・ジョーの情熱的なボーカルはまるでグロリアの決意そのもの。
多くの音楽評論家も、このダイナミックな展開とボーカルパフォーマンスをアルバムのハイライトとして絶賛しており、歌詞のストーリー性も高く評価されています。シングルカットされていないにもかかわらず、アルバムのコンセプトを象徴する重要な楽曲として、ファンの間でも特に人気の高い一曲です。
壮大なスケール感と感動的なメロディ、そして情熱的なメッセージ。この曲をライブで聴きたいという声も多く、同じアルバムに収録されている「¡Viva la Gloria? (Little Girl)」との聴き比べも、アルバムをより深く味わう楽しさのひとつです。
Youtube【¡Viva La Gloria!】
②歌詞と和訳
Hey, Gloria, are you standing close to the edge?Look out to the setting sun, the brink of your visionEternal youth is a landscape of a lieThe cracks of my skin can prove, as the years will testifySay your prayers and light a fire, we're gonna start a warYour slogan's a gun for hire, it's what we waited for
Hey, Gloria, this is why we're on the edgeThe fight of our life's been drawn to this undying love
Gloria! ¡Viva la Gloria!You blast your name in graffiti on the wallsFalling in broken glass that's slashing through your spiritI can hear it like a jilted crowd!
Gloria! Where are you, Gloria?You found a home in all your scars and ammunitionYou made your bed in salad days amongst the ruinsAshes to ashes of our youth!
She smashed her knuckles into winter (Gloria!)As autumn's wind fades into blackShe is the saint of all the sinners (Gloria!)The one that's fallen through the cracksSo don't put away your burning light!
Gloria! Where are you, Gloria?Don't lose your faith to your lost naivetéWeather the storm, and don't look back on last NovemberWhen your banners were burning down!
Gloria! ¡Viva la Gloria!Send me your amnesty down to the broken heartedBring us the season that we always will rememberDon't let the bonfires go out!
So, Gloria, send out your message ofThe light that shadows in the nightGloria, where's your undying love?Tell me the story of your lifeYour life!
③ニルヴァーナの「ネヴァーマインド」で…
この『21世紀のブレイクダウン』をプロデュースしたのは、あのブッチ・ヴィグ。彼はニルヴァーナの伝説的名盤『ネヴァーマインド』を手がけたことで広く知られる名プロデューサーです。
そのほかにも、スマッシング・パンプキンズの『サイアミーズ・ドリーム』、グー・グー・ドールズの『サムシング・フォー・ザ・レスト・オブ・アス』、そしてフー・ファイターズの『ウェイスティング・ライト』や『ソニック・ハイウェイズ』など、枚挙にいとまがありません。
ちなみに、私の好きなソウル・アサイラムの「ミザリー」が収録されているアルバム『レット・ユア・ディム・ライト・シャイン』も、ブッチ・ヴィグのプロデュース作品なんですよ。
そんな大御所が音の土台を支えているのだから…この完成度にも納得というわけです。
④エネルギッシュでキャッチーな…
グリーン・デイといえば、エネルギッシュでキャッチーな楽曲が代名詞。一度聴いたら耳から離れない強烈なフレーズが多く、リスナーの記憶に深く刻まれます。でも、彼らの魅力はそれだけではありません。
切なさを帯びたバラードや、まるで映画のように物語が展開する組曲まで、ジャンルにとらわれない幅広い音楽性こそが、グリーン・デイを唯一無二の存在にしている理由なのだと思います。
2006年のグラミー賞では、哀愁あふれるバラード「Boulevard of Broken Dreams」が最優秀レコード賞を受賞し、多くのリスナーを驚かせました。エネルギッシュなパンクのイメージが強い彼らが、バラードでここまで評価されるとは誰が予想したでしょうか。
さらに、YouTubeで見つけた宇多田ヒカルさんによる同曲のカバーにも驚かされました。彼女がグリーン・デイの楽曲を歌うという意外な組み合わせがとても新鮮で、気がつけば何度も聴き返していました…。
【Green Day - Boulevard Of Broken Dreams [Official Music Video] [4K Upgrade]】
ビリー・ジョーのメロディセンスはデビュー当初から高く評価されてきましたが、「¡Viva la Gloria!」は、そのポップセンスが一つの完成形として結実した楽曲かもしれません。一度聴けば口ずさみたくなるほどのキャッチーさ。激しいパンクの衝動と、耳なじみの良いメロディが見事に同居しています。
そのバランス感覚こそが、グリーン・デイの最大の魅力。そして「¡Viva la Gloria!」は、紛れもなくその両面が美しく融合したロックアンセムです。