① [ジョイ・ディヴィジョン] から [ニュー・オーダー] へ
1979年~80年ごろにかけて、イギリスのポストパンクを担うバンドとして大きな注目を集めていたジョイ・ディヴィジョン。
しかし1980年5月、初のアメリカツアーに出発する前日にボーカリストで作詞も担当していたイアン・カーティスが23歳の若さで自殺。
この悲劇により、成功をつかみ取る直前に活動停止となったジョイ・ディヴィジョンの残された3人のメンバーを中心に新たに結成されたバンドがNew Order(ニュー・オーダー)です。
ニュー・オーダーはテクノミュージックの要素を取り入れることで、ダンスとロックを組み合わせたサウンドをいち早く確立しました。
そんな彼らの曲の中で最も人気がある曲の一つが、1986年発売のBrotherhoodに収録されているシングル「Bizarre Love Triangle(ビザール・ラヴ・トライアングル)」。
世界中のアーティストにも評価され、カバーバージョンやリミックスバージョンが無数に存在するダンスロックのアンセム的名曲です。
↓Youtube【Bizarre Love Triangle (7" Remix Edit) (2015 Remaster)】
1986年発売。「Bizarre Love Triangle」が収録されている4thアルバム。ロックサウンドの曲とダンスサウンドの曲がほどよく収録された、ニュー・オーダー初期の名盤。
2005年にリリースされたシングルベスト。2016年にはリマスター盤も発売になっているので、良い音質でニュー・オーダーの曲を楽しみたい方はこちらをおすすめします。
②タイトルの意味は「奇妙な恋の三角関係」
タイトルの「Bizarre Love Triangle」は直訳すると「奇妙な恋の三角関係」。
Bizarreってあんまり聞いたことない単語ですよね。
人気マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」の英語版のタイトルが「JoJo's Bizarre Adventure」なので、ジョジョ好きな方はすぐに意味がわかったかもしれません。
この曲は2人の女性との関係に気持ちが揺らいで片方の女性への気持ちがなくなっているけど、自分からは別れを切り出すことができない情けなくて身勝手な男の感情を歌った曲です。
2人の女性との三角関係に悩んだことのあるイケメン男性には深く共感できる歌詞だと思います(笑)。
でも歌詞からだけでは、前の彼女との三角関係なのか、新しく知り合った女性との三角関係なのかはちょっとわからないかも。
日本語に訳するときは、Youがどの女性とするかによって意味も変わってきそうなので、人によって歌詞の解釈は変わってくるんじゃないでしょうか?
バックに流れるメロディは能天気ともいえるくらい軽快な、エレポップ風のダンスビート。
恋愛に悩む男の切ない心境を歌った曲だけど超リズミカルでフックの効いたサウンドなので「Bizarre Love Triangle」はアメリカビルボードのダンスクラブチャートでも4位を記録するヒットになりました。
③イアン・カーティスの死から生まれた「Blue Monday」
話は変わりますが、ニュー・オーダーの前身バンド、ジョイ・ディヴィジョンのボーカルだったイアン・カーティスの自殺をテーマにした「Blue Monday」という曲があります。
曲名は日本語に訳すと「憂鬱な月曜日」。
メンバーがイアン・カーティスの死を知ったのが月曜日だったことからつけられたタイトルと言われています。
ロックとダンスを融合させたメロディと、感情をなくしたように抑揚なく淡々と歌うボーカル。
想像を絶する絶望の中で作られたことを考えるとなんとも胸がつまってしまいます。
仲間の死についての曲ということで、売り上げのことはそれほど頭になかったかもしれませんが「Blue Monday」は世界中で大ヒット。
当時、12インチのシングルとしては史上最も売れたシングルになっており、現在でもニュー・オーダーの代表曲として挙げるファンも少なくありません。
この曲が世界的なヒットに結びついたとき、メンバーの気持ちはかなり複雑だったかもしれませんね…。
↓「Blue Monday」の和訳はこちらのサイトでわかりやすく紹介されています
④「Bizarre Love Triangle(ビザール・ラヴ・トライアングル)」の和訳
僕は置き去りにすることのできない人生を生きている
日が過ぎるに連れて僕の混乱は大きくなっていく
僕には言えないその言葉をキミが言ってくれる瞬間を
なぜ僕とキミは昨日のような僕たちでいられないんだろう
僕たちは運命の人じゃいられなくなるんだろうね
(繰り返し ★×4)