①1979~1980年頃にポストパンクの…
イングランドのマンチェスター出身で、1979年~1980年頃にポストパンクの先駆けとして注目されていた、ジョイ・ディヴィジョン。
しかし、1980年5月。アメリカ初ツアーを目前に控えたある日、ボーカルで作詞もしていたイアン・カーティスが、わずか23歳で自ら命を絶ってしまいます。
このショッキングな出来事により、ジョイ・ディヴィジョンは活動を停止。
しかし、残された3人のメンバーは新たに「ニュー・オーダー」というバンドを結成し、再スタートを切ることになります。
ニュー・オーダーは、テクノの要素を取り入れながら、ロックとダンスを融合させた新しいスタイルの音楽をいち早く確立しました。
そんな彼らの代表曲のひとつが、1986年にリリースされた4枚目のアルバム『Brotherhood』に収録されているシングル「Bizarre Love Triangle(ビザール・ラヴ・トライアングル)」。
今でも世界中のアーティストにカバーされ、リミックスも数多く生まれているダンスロックの名曲です。
【New Order - Bizarre Love Triangle (Official Music Video) [HD Upgrade] 】
1986年発売。「Bizarre Love Triangle」が入ってる4thアルバム。ロック寄りの曲、ダンス寄りの曲がいいバランスで詰まっていて、初期ニュー・オーダーを知るのにぴったりの一枚です。
こっちは2005年に出たシングルベスト。2016年にはリマスター盤も出てるので、いい音で聴きたい人にはこっちがおすすめ。
②歌詞と和訳
Songwriter(s) - Gillian Gilbert
Peter Hook
Stephen Morris
Bernard Sumner
Every time I think of youI feel shot right through with a bolt of blueIt's no problem of mineBut it's a problem I findLiving a life that I can't leave behind
But there's no sense in telling meThe wisdom of the fool won't set you freeBut that's the way that it goesAnd it's what nobody knowsWell every day my confusion grows
Every time I see you fallingI get down on my knees and prayI'm waiting for that final momentYou say the words that I can't say
I feel fine and I feel goodI'm feeling like I never shouldWhenever I get this wayI just don't know what to sayWhy can't we be ourselves like we were yesterday
I'm not sure what this could meanI don't think you're what you seemI do admit to myselfThat if I hurt someone elseThen I'll never see just what we're meant to be
Every time I see you fallingI get down on my knees and prayI'm waiting for that final momentYou say the words that I can't say
③直訳すると「奇妙な恋の三角関係」…
「Bizarre Love Triangle」は、直訳すると「奇妙な恋の三角関係」みたいな意味になります。
“Bizarre”ってあんまり日常会話では聞かない単語かもしれないけれど、あの有名なマンガ『ジョジョの奇妙な冒険』の英語タイトルが「JoJo's Bizarre Adventure」なので、ジョジョ好きな人ならすぐピンとくるかもしれませんね。
で、どんな内容の曲かというと…
2人の女性の間で気持ちが揺れているけど、自分から別れを切り出すことができない。そんなちょっと情けなくて、どこか自分勝手な男の心情を描いた曲なんです。
もしかしたら、恋の三角関係で悩んだことがあるイケメンには共感できる部分があるかもしれません(笑)
ただ、歌詞を見ても状況がはっきりとはわからなくて、「元カノのことを引きずってるのか?」「それとも今の彼女と、新しく出会った誰かで揺れてるのか?」って、いろんな解釈ができちゃうんですよね。
“you”が誰を指してるのかによって、見え方がガラッと変わってくるので、人それぞれの受け取り方があると思います。
で、そんなちょっと複雑で切ない内容なのに、曲の雰囲気はというと…まさかの、めちゃくちゃ軽快で明るいダンスビート!
悩んでる男の心の中を歌ってるはずなのに、サウンドはエレポップ風でめちゃノリがいいんです。
この意外性もあってか、「Bizarre Love Triangle」はアメリカのビルボード・ダンスクラブチャートで4位にランクインするヒットになりました。
④ニュー・オーダーの代表曲のひとつに…
ちょっと話はそれますが、ニュー・オーダーの代表曲のひとつに「Blue Monday」という曲があります。
この曲は、1983年にリリースされて世界中で大ヒットしたダンスナンバーで、今でも「ニュー・オーダーといえばコレ!」という人も多い名曲です。
タイトルの「Blue Monday」は直訳すると「憂うつな月曜日」。一部では、メンバーがイアン・カーティスの死を知ったのが月曜日だったから…なんて言われることもありますが、公式にははっきりとはしていません。
歌詞も内容も、イアンの死について直接的に語っているわけではないんですが、ロックとダンスを組み合わせた冷たいエレクトロサウンドに、感情を抑えたような淡々としたボーカルが重なります。
なんとなくだけど、言葉にならない喪失感がにじみ出ているような気がするんですよね…。
【New Order - Blue Monday 88 (Official Music Video)】
背景を知らなければ、クールでスタイリッシュなダンス曲として聴き流せるかもしれません。でも、ジョイ・ディヴィジョンからニュー・オーダーへと歩み始めた彼らの過去を知っていると、どこか心に引っかかるものがあって、胸がギュッと締めつけられるような感覚になります。
たぶんこの曲は、「ヒットを狙って作った」というよりも、失ったものを抱えながら、それでも前へ進もうとする彼らの姿が自然と音に表れたものなんじゃないかな…そんなふうに思えてきます。
実際、「Blue Monday」は12インチシングルとしては当時史上最高の売り上げを記録する大ヒットになり、今でも多くのファンに愛され続けている曲です。
でも、その成功を本当に心から喜べたのかどうか――当時のメンバーの胸の内は、きっと複雑だったんじゃないかなと思わずにはいられません…。