激しすぎるくらい激しいサウンドがちょっとうるさく感じてしまう…。
演奏と歌詞が攻撃的過ぎてちょっと引いてしまう…。
奇抜な衣装と叫びまくるボーカルにちょっとカオスを感じてしまう…。
ハードロック、ヘヴィメタルの中でも特に荒々しくてアグレッシブな曲は歌物(ボーカルの歌唱を重視した曲)が好まれる傾向にある日本では苦手な人が多いかもしれないですね。
でも、意外とバラードは目からウロコが何枚も落ちるほど美しくて感動する曲がたくさんあるんです!
日本人のボーカルでは出せないような、海外のボーカリストならではのハイトーンボイス。
力強く美しく、鼓膜と心を震わせる声で歌われる曲は、バラード好きの方なら思わず涙を流してしまうことでしょう…。
というわけで、今回はバラード大好き人間の私が愛するハードロック、ヘヴィメタル系のバラードのおすすめ曲をまとめました!
① High Enough (ハイ・イナフ) / Damn Yankees (ダム・ヤンキース)
【1990年】アルバム最高位/13位(アメリカ)
ナイトレンジャーのジャック・ブレイズ、スティクスのトミー・ショウ、デトロイト出身のハードロック界の大御所テッド・ニュージェント、トリプルリードギターで人気を博したレーナード・スキナードの再結成メンバーのマイケル・カーテロン。ダム・ヤンキースは、すでに活躍していた個々のミュージシャンが集まったスーパーグループのひとつです。
High Enough(ハイ・イナフ)は全米チャートで3位を記録したバラード。同じくスーパーグループのバッド・イングリッシュの次にリーバイスのCMソングに使われていました。
この曲はこれまで私が聴いてきたロックバラードの中では間違いなく5本の指に入る名曲!荒々しいバンド名のハードロックバンドがまさかこんなに美しいコーラスを持った曲を歌うなんて…衝撃的でした。
トミー・ショウの伸びのある、透き通るようなハイトーンなロックボイスには惚れ惚れしてしまいます!喉の調子がいい時にカラオケで歌ってみようとするんですけど、歌えたことはありません(笑)
② Not Enough (ノット・イナフ) / Van Halen (ヴァン・ヘイレン)
【1995年】アルバム最高位/1位(アメリカ)、2位(日本、カナダ)、8位(イギリス)
世界的な大ヒット曲「JUMP」で知られるアメリカのハードロックバンド、ヴァン・ヘイレン。去年惜しまれつつ亡くなったエディ・ヴァン・ヘイレンの革新的なギターテクニック、ライトハンド奏法が特に有名。
Not Enough(ノット・イナフ)はJUMPと同じくサミー・ヘイガーがボーカリストだった時代の曲。個人的にはデイヴィッド・リー・ロスの時よりもサミー・ヘイガー時代のヴァン・ヘイレンの方が聴きやすくて好みです。
PVでエディがギターを膝の上に乗せて弾いているピアノのイントロが、群を抜いて美しい…。それまでのヴァン・ヘイレンの印象とは全く違う流麗なメロディ。ヴァン・ヘイレンの凄さを思い知らされた曲かもしれません。
それにしてもギターを弾いても一流、ピアノを弾いても一流のエディはほんとにすごいミュージシャンだったんですね。
③ Wind Of Change (ウインド・オブ・チェンジ) / Scorpions(スコーピオンズ)
【1990年】アルバム最高位/1位(ドイツ)、6位(スウェーデン)、21位(アメリカ)、39位(日本)
ドイツ出身のハードロック、ヘヴィメタルバンドのスコーピオンズが1990年に発表した大ヒットアルバムCrazy World。このアルバムに収録されたWind Of Changeはイギリスで2位、アメリカでは4位を記録した曲です。この曲だけで600万枚も売り上げ、ドイツのアーティスト、バンドとしては最も多いシングル売り上げ記録を樹立しています。
ボーカリストのクラウス・マイネ自身が吹く冒頭の口笛で始まるこの曲。イントロから終始漂う、郷愁的な雰囲気の物悲しさはハードロック、ヘヴィメタルのバンドの曲とは思えないほどしんみりと胸に響きます。情熱的に盛り上がるバラードではなく、じわじわと胸に広がる系の良いバラードですね。
スコーピオンズは、CDジャケットに性的、過激な写真やイラストを使うことでも有名で、いくつかのアルバムが発売前、発売後に多くの国でジャケットの差し替え措置がとられたほど。せっかく曲がいいのにジャケットで敬遠されてしまうことがあるのはちょっと残念かも。
④ Don't Cry (ドント・クライ) / Guns N' Roses(ガンズ・アンド・ローゼズ)
【1991年】アルバム最高位/1位(アメリカ、イギリスなど)、2位(日本など)、3位(ドイツ)、4位(スウェーデン)
ガンズ・アンド・ローゼズはカリスマ性と話題性を持ったスキャンダラスなボーカリスト、アクセル・ローズが中心のバンドで、全世界で1億枚以上のアルバムセールスを記録しています。人気絶頂期の1991年に2枚同時に発売されたアルバム、ユーズ・ユア・イリュージョン1は全英・全米で2位、ユーズ・ユア・イリュージョン2は全英・全米で1位だったんだから、世界を獲ったバンドと言っても過言じゃありません。
ガンズ・アンド・ローゼズはアグレッシブで激しい曲の印象が強いかもしれませんが、涙を誘う美しいバラード曲もたくさんあるんですよね。Don't Cryは、November Rainと双璧をなすガンズの名バラード。ギターのシンプルな演奏で、悲しさをあおるかのように低い声でうつろに歌うアクセル・ローズの歌声。
曲が進むごとに演奏に厚みが増していき、後半では感情的に声を張り上げて歌う展開にグイグイと引き込まれます。ガンズお得意の泣きのギターソロももちろんハイライトのひとつです!
⑤ When Love & Hate Collide (ラヴ&ヘイト) / Def Leppard(デフ・レパード)
【1995年】アルバム最高位/3位(イギリス)、15位(アメリカ)
アルバム総売り上げは1億枚以上を誇る、イングランド出身のハードロックバンド。どちらかというと日本人に好まれるタイプのハード過ぎないメロディアスな曲が多い、デフ・レパード。イギリスでシングルチャートの2位を獲得したLove & Hateも、ハードロックバンドの曲とは思えないほど爽やかな雰囲気を持ったバラードです。
ややハスキー目なボーカルに重なるコーラスはうっとりするほどの美しさ。私はデフ・レパードで初めて聴いたのがこの曲だったので、その後は完全にバラードバンドとして期待をするようになってしまいました(笑)緊迫感がありつつもゆったりとした曲調のバラードLove Bitesも同じくらいおすすめです。
ちなみに2008年にはテイラー・スウィフトのボーカルをフィーチャーしたバージョンが再録音されているので、テイラー・スウィフトのファンの方はそちらも聴いてみて下さい!
⑥ Another Day (アナザー・デイ) / Dream Theater(ドリームシアター)
【1992年】アルバム最高位/30位(日本)、61位(アメリカ)、94位(ドイツ)
プログレッシブ・ロックにヘヴィメタの要素を取り入れてヒット曲を作ったアメリカ出身のバンドで、日本でも人気が高いバンドです。ちょっとクラシックをバックボーンに感じるようなメロディだったからドイツのバンドかと思っていたら、アメリカのバンドでした(汗)
セールス的に伸び悩んだデビューアルバムから3年後。ドリーム・シアターの出世作でもある2ndアルバムに収録されたこの曲はギタリストのジョン・ペトル―シが、癌になった父への想いをつづった曲。それを知ってから聴くと、「So die another day(だから死ぬのは別の日にしよう)」という歌詞が胸に突き刺さります…。
聴きやすくて受け入れやすい曲調なんだけど、ありきたりな感じや安っぽい感じは全然しないロックバラードの名曲。後半部分のたたみかけるように高音が続くボーカルは放心状態になってしまうほどの素晴らしさ。
誰でも訓練次第である程度高い声は出せるようになるってのを聴いたことがあるけど、このキーを歌える日本人はほとんどいないんじゃないでしょうか?
⑦ Love of a Lifetime (ラヴ・オブ・ア・ライフタイム) / FIRE HOUSE(ファイアーハウス)
【1990年】アルバム最高位/21位(アメリカ)
特にアジア諸国での人気が高いアメリカ出身のハードロックバンド。Love of Lifetimeのシングルは全米で5位、この曲が収録されているデビューアルバムはアメリカではダブルプラチナ、日本でもゴールドアルバムに認定されるほどのヒットになりました。
アメリカでは結婚式のダンスソングの定番にもなっていた曲。ついに生涯愛せる人を見つけた…と繰り返す歌詞はちょっとクサイと思う人もいるかもしれないけど、間違いなくロックバラード史に輝く曲だと思う。
サビももちろんいいんだけど、出だしのアコースティックギターの旋律に乗せて低めの声で優しく歌われるAメロが個人的には一番好きな部分。幸せそうに寝ている恋人を見つめながら、静かに愛しさが込み上げてくる…そんな映像が浮かんでくるような暖かな感動に浸ることができるんですよね。
デビューアルバム「FIRE HOUSE」のLove of Lifetime、2ndアルバム「Hold Your Fire」のWhen I Look Into Your Eyes、3rdアルバム「3」のI Live My Life for Youと、アルバムに必ず1曲は自分好みのバラードが収録されているバンドでもありました。
⑧ Don't Close Your Eyes (ドント・クローズ・ユア・アイズ) / KIX(キックス)
【1988年】アルバム最高位/46位(アメリカ)
アメリカのバンド、KIXが1988年に発表した4枚目のアルバム、BLOW MY FUSEに収録されている曲。このアルバムまでは大きなヒットに恵まれなかった彼らが初めて作ったバラードがDon't Close Your Eyesです。このシングルが全米11位のヒットを記録したこともあり、KIXはBLOW MY FUSEでブレイクを果たし世界的に成功を収めることになりました。
哀愁、というより暗さが漂ったこの曲。それはこの曲が、薬物による自殺が流行していた当時のアメリカで、自殺をしないでほしいという思いを込めて作られた曲だからなんだと思います。
歌詞には「自殺の途中」とか「それを飲んじゃだめだ」とか「眠っちゃだめだ、起きるんだ」というかなりリアルでストレートな表現をした部分も。日本語訳を知らないで聴くと、「Don't Close Your Eyes(目を閉じないで)」っていう歌詞がラブソングのように聴こえるかもしれないけど、違います。
サビは「目を閉じないで、目を閉じないで、最後の子守唄を歌わないで…!」と、永遠の眠りにつこうとする相手を必死に止めようとする悲痛な内容。自殺するには人それぞれ理由があるとは思いますが、コロナが流行して自殺する人が増えている今の時代にも再評価されて欲しい名曲です。
⑨ Fly Away From Here (フライ・アウェイ・フロム・ヒア) / Aerosmith(エアロスミス)
【2001年】アルバム最高位/2位(アメリカ)、4位(日本)、6位(ドイツ)、7位(イギリス)
リズム&ブルース、ハードロックを独自のスタイルでアレンジさせて世界的な人気を不動のものにしたアメリカロック界の重鎮バンド、エアロスミス。前作から4年ぶり、その間アルマゲドンの大ヒット曲、I Don't Want to Miss a Thingを挟んで発表された13枚目のアルバムに収録されているFly Away From Here。
PVの映像も曲調もI Don't Want to Miss a Thingに似ている感は否めないけど、逆に言えばこの手のタイプの曲が好きな人には間違いなく受けるバラードに仕上がってると思います。
ピアノの旋律だけをバックにした歌い出しで始まり、サビで一気に盛り上げる構成のエアロスミスの王道バラード。エアロスミスは時々こういう演奏テクニックよりもボーカルを聴かせる感じのバラードを歌うけど、ほんとに期待を裏切らないんですよね。
ただ、このFly Away From HereのPVの終盤、翼の生えたジョー・ペリーが飛びながらギターを弾いているのには少し違和感を感じてしまったかも(笑)
⑩ You're All I Need (ユア・オール・アイ・ニード) / White Lion(ホワイト・ライオン)
【1991年】アルバム最高位/31位(イギリス)、61位(アメリカ)
White Lionはアメリカのハードロックバンド。アメリカで2位、イギリスで9位の大ヒット曲となったIs This Loveで有名なWhitesnake(ホワイトスネイク)と名前が似ているので混同しないように注意してください(笑)
この曲はボーカルのマイク・トランプが高音で歌う歌唱スタイルからキーを抑えめにしたボーカルスタイルに歌い方を変えた時期の曲。ハスキーな声で切なく歌われる「you're all i need to turn my world(あなたは俺の世界を変えるために必要な全てなんだ)」にはジーンときてしまいます。
特に大きな盛り上がりがあったり、わかりやすいフックがあるわけじゃないです。一気に引き込まれるような引力はないかもしれないけど、徐々に厚みが加わってきて感動が心にじんわりと広がるタイプのドラマチックな展開を持った曲。
歌物が好まれる東南アジアでヒットしたことからも、しっとりと聴かせるタイプの名曲であることが証明されてますね。
⑪ Long Gone (ロング・ゴーン) / Fair Warning(フェア・ウォーニング)
【1992年】アルバム最高位/ ━
ドイツ出身のフェア・ウォーニングはビッグ・イン・ジャパンとして知られるバンドかもしれません。メロディアスさが日本では受けたけど母国ドイツではそれほど人気が出ず、過去には観客が一人しかいないライブもあったとか…。
Long Goneはライブで聴いたら会場がめちゃめちゃ盛り上がりそうな力強さを持ったパワーバラード。透明感がありながらも熱い情熱を感じるドラマチックな曲です。出だしは静かだけど、徐々に音とコーラスが分厚くなっていき、サビでの心の奥から絞り出すかのようなシャウト気味のボーカルは圧巻!ある意味、教科書的、典型的な構成でありながらもここまで壮大で感動させられる曲に仕上げられる力はすごい。
情熱的なサビを持った曲だから燃え上がる愛を歌っているのかと思ったら、別れた彼女に向けて歌っている歌詞だったっていうセンチメンタルな部分も私好みでした。