①グランジムーブメントの象徴として…
1990年代、グランジ・ムーブメントの象徴として時代を揺るがした伝説のバンド、ニルヴァーナ。1994年にフロントマンであるカート・コバーンが自ら命を絶ったことは世界中のファンに衝撃を与えました。
その翌年、ニルヴァーナのドラマーだったデイヴ・グロールが新たなプロジェクト、フー・ファイターズを始動。彼らのデビューアルバムは高評価を得て、全英チャート3位に輝くなど大きな成功を収めました。
そのフー・ファイターズの中で個人的に思い入れがあるのは、2ndアルバム『ザ・カラー・アンド・ザ・シェイプ』に収録されている「アップ・イン・アームズ」という曲。
最初の1分間はゆったりとしたバラード調。ここで「違うかな?」と感じてスキップしてしまうと本当の良さを味わう前に終わってしまうけど、そこは我慢しましょう。この曲の本当の魅力が顔を見せ始めるのはそれからだから…。
Youtube【Foo Fighters - Up In Arms】
②歌詞と和訳
Songwriter(s) - Dave Grohl, Nate Mendel and Pat Smear
The rain is here, and you, my dearAre still my friendIt's true, the two of usAre back as one again[Chorus]Well, I was the one who left youAlways comin' back,I cannot forget you, girlNow I am up in arms againThe rain is here, and you, my dearAre still my friendIt's true, the two of usAre back as one again[Chorus]Well, I was the one who left youAlways comin' back,I cannot forget you, girlNow I am up in arms againTogether now,I don't know how this love could endMy lonely heart,it falls apart for you to mend[Chorus]Well, I was the one who left youAlways comin' back,I cannot forget you, girlNow I am up in arms again
③1番と2番の歌詞はほんの少し違うものの…
この曲は1番と2番の歌詞はほんの少しだけ違うものの、ほぼ同じ内容。1番のテンポがとにかくゆるやかなバラード調だから、フー・ファイターズらしさを期待して聴いた人は最初の時点で合わないと思ってスキップボタンを押してしまうかも。
だけどこの曲の魅力はそのスローテンポな1番から一瞬の静寂を挟んだ直後、一気に顔を変える展開にあるわけで。
歌詞カードを見ずに初めて聴いたときはあまりにも1番と2番の緩急が違いすぎて、まさか歌詞がほとんど変わらないなんて思いもしなかったなあ。たった2分15秒の短い中でここまで大幅に緩急をつけるなんてさすが元ニルヴァーナだ…なんて当時は大してニルヴァーナを知りもしなかったくせに思ったりもしてたっけ(笑)。
ちなみに最初にフー・ファイターズを知ったのは、私が住んでいる地方で1990年代後半ころ深夜に放送されていた洋楽番組「ビルボードTOP40」。
そこで初めて聴いたのはアルバム『ザ・カラー・アンド・ザ・シェイプ』の2曲目、ヒットシングルの「モンキーレンチ」。このアルバムには他にも「エヴァーロング」や「マイ・ヒーロー」などのヒット性の高いシングルが収録されているのに、私が一番ハマったのはなぜかシングルにもなってない僅か2分ちょいの曲「アップ・イン・アームズ」。いまだにこの曲だけはドライブのお供に欠かせないんだから不思議なもんです
④デイヴ・グロールがこれほど凄い…
デイヴ・グロールがまさかこれほど凄いミュージシャンだとは、最初はまったくわからなかったんですよ。
ニルヴァーナではドラムを叩いていたデイヴ・グロールがフー・ファイターズでは作詞作曲して、ギターをガンガン弾きまくって、歌唱力も他のバンドのボーカリストと比べても勝るとも劣らないわけで。というかそんじょそこらのバンドのボーカルよりもよっぽどパワフルでスバラシイ歌声じゃありませんか!
解散した後とは言っても、バンドのドラマーが突然ギターを持ってボーカルを務め、自分のバンドを立ち上げる…なんて、日本ではちょっと想像できない。
それでいてデイヴ・グロールが作る曲はクオリティがまあ高いのなんのって。音楽賞に頻繁にノミネートされているのもうなずけます。
実は私はニルヴァーナではなくフー・ファイターズのデイヴ・グロールを先に知ったので、後からニルヴァーナでドラムを叩いている映像を見て驚きました。ドラムを叩くデイヴ・グロールにむしろ違和感がありまくりでしたね(笑)。
余談ですけど、このアルバムにはこんな裏話が。
ドラマーの演奏に納得できなかったデイヴ・グロールが、結局ドラムの全パートを自ら叩き直したというのです。元ニルヴァーナのドラマーでもあるデイヴが「自分でやる」となれば、フー・ファイターズのドラマーも言い返せなかったでしょうね…。
とはいえ、その後もデイヴは彼に「バンドに残ってほしい」と声をかけているので、一方的にバンドメンバーをクビにするような「オレ様」キャラではなかったようです(笑)。
妥協を許さないデイヴの性格と、それでいて仲間思いな姿勢が感じられるエピソードですよね。