独自のポップ路線を追求した「音の魔術師」トッド・ラングレン。
ダリル・ホール&ジョン・オーツ、チープトリック、XTCなど多くのアーティストのプロデュースもこなしているメチャクチャ多彩な人です。
ただ、日本では誰もが知っているというアーティストではないので名前も聞いたことないよって方が多いかもしれません(^^;
この人は「次のアルバムはこんなのがやりたい!」「こういうコンセプトでいきたい!」って感じにアルバムごとに曲の雰囲気が結構変わったりします。
だからコアなファンじゃない限り「トッドラングレンは全アルバム好き!」という方は少ないかもしれません・・・
しかしアルバムごとに方向性が変わるということは、逆に誰もがどれか1曲は好きな曲がある可能性が高いということに違いありません!
そこで今回は私が今もよく聴いているトッドのポップマイスターっぷりが全開な曲をご紹介したいと思います!
80年代あたりの洋楽ポップスが好きな方はぜひ一度聴いてみて下さい!
①1970年 ~ 1979年
- Broke Down and Busted – 4:32
- Believe in Me – 2:04
- We Got to Get You a Woman – 2:52
- Who's That Man – 2:59
- Once Burned – 2:09
- Devil's Bite – 3:53
- I'm in the Clique – 4:57
- There Are No Words – 2:12
- Baby Let's Swing/The Last Thing You Said/Don't Tie My Hands – 5:28
- Birthday Carol – 9:14
"Believe in Me"
1stアルバムに収録されている2分ちょっとの短い曲です。ピアノのメロディも歌い方もとにかく優しく、私はこの曲を初めて聴いたときがちょうど春の暖かくなってきた時期だったので、どうしてもうららかな春を連想してしまいます・・・。次の2ndアルバムには「Be Nice to Me(ビー・ナイス・トゥ・ミー)」というなんとなくタイトルが似た曲があり、こちらはシングルカットもされていてベストアルバムにも収録されていたりしますが、私は断然「Believe in Me」の方が好きです。
"Baby Let's Swing/The Last Thing You Said/Don't Tie My Hands"
ベイビー・レッツ・スウィング/ザ・ラスト・シング・ユー・セッド/ドント・タイ・マイ・ハンズの3曲からなるメドレーです。2分前後の短い曲をつなげてひとつの曲にしているんですが、どの曲もとてもクオリティが高いです。1曲1曲をもっと長くすればどれもこれもがじゅうぶんシングルとして成立するんじゃないかってほどです。その中でも特に、メドレーの2番目の「ザ・ラスト・シング・ユー・セッド」はものすごくキャッチーなリズムとメロディラインが素晴らしいです!
アルバム名 : Something/Anything?(サムシング/エニシング?)
- 1972年 発売
- I Saw the Light - 2:56
- It Wouldn't Have Made Any Difference - 3:50
- Wolfman Jack - 2:54
- Cold Morning Light - 3:55
- It Takes Two to Tango (This Is for the Girls) - 2:41
- Sweeter Memories - 3:36
- Intro - 1:11
- Breathless - 3:15
- The Night the Carousel Burnt Down - 4:29
- Saving Grace - 4:12
- Marlene - 3:54
- Song of the Viking - 2:35
- I Went to the Mirror - 4:05
- Black Maria - 5:20
- One More Day (No Word) - 3:43
- Couldn't I Just Tell You - 3:34
- Torch Song - 2:52
- Little Red Lights - 4:53
- Overture–My Roots "Money (That's What I Want)"/"Messin' with the Kid" - 2:29
- Dust in the Wind - 3:49
- Piss Aaron - 3:26
- Hello It's Me - 4:42
- Some Folks Is Even Whiter Than Me - 3:56
- You Left Me Sore - 3:13
- Slut - 4:03
"Dust in the Wind"
もともとこのアルバムはA面~D面までいろいろなコンセプトで区切られたアルバムでした。それが現在では1枚のアルバムにすべて収まってしまったんだから時の流れを感じます・・・。このアルバムの19曲目のメドレー「Overture」から25曲目の「Slut」まではスタジオミュージシャンを集めてオーバーダビング無しのライブ形式でレコーディングされています!その中の1曲である「Dust in the Wind」は渋くもメロディアスなバラードで、Aメロから曲の終わりまでとにかく哀愁たっぷりです。間奏のトランペット?も感情がめちゃめちゃ揺さぶられる情熱的な音色だし、感傷的に絞り上げるように歌うトッドの歌声も素晴らしいです。私はこの曲はトッドの曲の中でも1、2を争うくらい聴いています!
"You Left Me Sore"
この曲もライブ形式の一発撮りらしいです。曲の入りで何度も失敗してやり直してるのもそのまま収録されているのがほほえましいですね(笑)。そんなに派手だったり心に引っかかるようなフックのあるメロディを持った曲ではないんですけど、リズミカルで何とも言えない可愛らしい雰囲気があるんですよね。個人的にはどこかオールディーズ風のちょっとレトロな感じもあり、BGMとして流していたいような曲でもあります。あんまりこの曲を推している人はいないと思うので少数派かもしれませんが。ちなみにSoreっていうのは「痛い・ひりひりした」っていう意味です。You Left Me Soreは、君は僕に痛みを残したみたいな意味ですかね?違ってたらすみません。
アルバム名 : Todd(未来から来たトッド)
- 1974年 発売
- How About a Little Fanfare? - 1:03
- I Think You Know - 3:04
- The Spark of Life - 6:23
- An Elpee's Worth of Toons - 2:09
- A Dream Goes On Forever - 2:21
- Lord Chancellor's Nightmare Song - 3:32
- Drunken Blue Rooster - 3:00
- The Last Ride - 4:48
- Everybody's Going to Heaven/King Kong Reggae - 6:38
- No. 1 Lowest Common Denominator - 5:12
- Useless Begging - 3:40
- Sidewalk Cafe - 2:15
- Izzat Love? - 1:55
- Heavy Metal Kids - 4:16
- In and Out the Chakras We Go (Formerly: Shaft Goes to Outer Space) - 5:47
- Don't You Ever Learn? - 6:04
- Sons of 1984 - 4:34
"A Dream Goes On Forever"
私がトッドを知るきっかけになった曲で、トッド・ラングレンの曲の中でも結構メジャーな部類の曲。2分ちょいの短くてシンプルなバラードで、最初聴いたときは心を激しく揺さぶられるほどの感動はなかったけど、じわじわと心に浸透していった名曲です。この曲を初めて聴いたのはもう20年くらい前のまだ大学生の時でしたが、最近、明け方にふとYouTubeで聴いてみたらなぜか涙が流れてきました(笑)。結構いろんなアーティストにカバーされているみたいで、日本ではコーラスグループのゴスペラーズもカバーしています。
"Izzat Love?"
この曲も2分もない短い曲です。テンポの速さが心地いいわかりやすいポップソングなんですけど、2分弱という短い曲の中で転調してるのかな?後半、曲調がちょっと明るくなるんですよね。短い曲なのにいろいろやってんなあと思いました(笑)。とても歌詞のリズムもいい曲だし一瞬で心をつかめるメロディだと思うんで、トッドファンの業界人の人がCMとかで使ってくれたらうれしいです。
アルバム名 : Oops! Wrong Planet(悪夢の惑星)
- 1977年 発売
- Trapped - 3:06
- Windows - 4:17
- Love in Action - 3:26
- Crazy Lady Blue - 3:37
- Back on the Street - 4:09
- The Marriage of Heaven and Hell - 4:33
- The Martyr - 3:48
- Abandon City - 3:49
- Gangrene - 3:36
- My Angel - 3:40
- Rape of the Young - 3:11
- Love Is the Answer - 4:10
"Love in Action"
もともとはトッドのサイドプロジェクトのような形で始まったバンド、Todd Rundgren's Utopia。3rdアルバムからはUtopiaにバンド名を短縮して、4thアルバムの「Oops! Wrong Planet」からはどんどんポップ寄りな音楽になっていきました。この曲「Love in Action」はソロ時代からもあまり見られない結構ハード目のギターのリフで始まる曲で、トッドの歌い方もロックっぽい歌い方を意識した感じになってます。サビの歌詞は「Love in Action~♪Love in Action~♪」ってシンプルに曲のタイトルを歌っているんですけど、一回ごとにメロディが少し変わったり、分厚いコーラスが重なったりしたりで妙な高揚感を感じます!
アルバム名 : Adventures in Utopia(アドヴェンチャーズ・イン・ユートピア)
- 1979年 発売
- The Road to Utopia - 4:54
- You Make Me Crazy - 3:41
- Second Nature - 2:36
- Set Me Free - 3:09
- Caravan - 7:01
- Last of the New Wave Riders - 4:22
- Shot in the Dark - 3:41
- The Very Last Time - 3:52
- Love Alone - 3:55
- Rock Love - 5:33
"Set Me Free"
「Oops! Wrong Planet」に続いて発表された5thアルバムに収録されている曲でアメリカで27位を記録している、Utopiaのシングルとしては最もランキングが上だった曲です。イントロのギターのメロディからもうポップ全開で、聴き始めて5秒もたたないうちに「俺はこの曲は好きに違いない!」と確信できた曲でもあります。私は「3分間ポップ」みたいな、長すぎず短すぎずの曲の中にポップのエッセンスを散りばめたような曲がかなり好きなんですけど、この曲はまさに「3分間ポップ」のお手本ですね。テンポはいいし、最後のサビでこれまた私の好きな転調までしてくれるところがこれまた素敵です。
②1980年 ~ 1989年
アルバム名 : Healing(ヒーリング~トッドの音楽療法)
- 1981年 発売
- Healer - 3:40
- Pulse - 3:07
- Flesh - 3:58
- Golden Goose - 3:16
- Compassion - 4:43
- Shine - 8:12
- Healing, Part I - 7:28
- Healing, Part II - 7:52
- Healing, Part III - 4:40
- Time Heals - 3:33
- Tiny Demons - 3:08
"Time Heals"
ソロ活動だったりユートピアで活動したりとわちゃわちゃしてた時期の1981年に発売されたアルバムに収録されていた、結構ストレートにポップをやり切った感じの曲。シンセとギターが効果的に使われていてスピード感もあるので飽きず、このアルバムでは一番リピートさせて聴いてました。4曲目の「Golden Goose」も面白い曲で好きなんですけど、アマゾンのレビューとか見てもどちらの曲も推してる人がいないという・・・私の好みが人とズレてるってことなんでしょうか?(^^;
アルバム名 : The Ever Popular Tortured Artist Effect(トッドのモダン・ポップ黄金狂時代)
- 1982年 発売
- Hideaway – 4:58
- Influenza – 4:29
- Don't Hurt Yourself – 3:41
- There Goes Your Baybay – 3:53
- Tin Soldier – 3:10
- Emperor of the Highway – 1:39
- Bang the Drum All Day – 3:32
- Drive – 5:26
- Chant – 4:20
"Hideaway"
1982年発売の10枚目のアルバムのオープニング曲。使っている楽器や設備が変わったのかな?最初聴いた時はやたら透き通った曲調になったなって感じでした。なんというか清々しいメロディですね。イントロはなんとも独特な感じがしますけど、それも聴いているうちにクセになってきてしまいました(笑)。曲に終始流れているギターのリフにもトッドのポップセンスがあふれていて、他のポップアーティストには決してマネできないような曲に仕上げてしまうのはさすがとしか言いようがありません!
アルバム名 : A Cappella(ア・カペラ)
- 1985年 発売
- Blue Orpheus – 5:02
- Johnee Jingo – 3:51
- Pretending to Care – 3:40
- Hodja – 3:25
- Lost Horizon – 4:57
- Something to Fall Back On – 4:13
- Miracle in the Bazaar – 4:12
- Lockjaw – 4:01
- Honest Work – 2:40
- Mighty Love – 3:41
"Something to Fall Back On"
前作「The Ever Popular Tortured ~」から3年後に発売されたアルバム。とは言ってもその間にUtopiaとして2枚のアルバムを作っているんですからほんとすごいです。しかもこのアルバム、タイトルが「A Cappella(ア・カペラ)」ということで、基本的にトッド一人の声で多重録音された「声だけで作られたアルバム」なんです。もう多彩すぎます。その中でも6曲目の「Something to Fall Back On」は過去のトッドの曲と比較しても群を抜いてカラフルで明るいメロディでライブでもよく歌われています。ただ、この曲は完全なア・カペラではなく楽器も少し入っているような感じですがそれでも一聴の価値ありです!