①収録アルバムの概要
- 発売年:1995年
- 収録アルバム:Let Your Dim Light Shine(レット・ユア・ディム・ライト・シャイン)
- アルバム最高位:全米6位
「Misery(ミザリー)」は私がソウル・アサイラムの名前を知ったきっかけになった曲。
イントロのギターアルペジオが感傷的で美しいバラードで、すべての洋楽の中でもかなり上位にくるくらい思い入れのある曲でもあります。
私が好きな他の洋楽と同じように「ミザリー」との出逢いも、高校生の時に見てた深夜の音楽番組『ビルボードTOP40』がきっかけ。
前の週とほとんど変わり映えしないランキングにちょっと眠くなってきて、テレビの電源を消そうとした瞬間に耳に入ってきたのがこの曲でした。
ランキングのコーナーだったのでその時はサビの短い部分しか聴くことができなかったけど、その部分を聴いただけで間違いなくこの曲のすべてが自分好みの曲だと直感。
そして次の週に同番組で奇跡的にピックアップされた「ミザリー」のフルPV。
イントロの切なく美しいメロディと、サビでパワフルになるギターの抑揚がドラマチックで、あっという間にこの曲の虜に。
たまたま好きな曲に出逢えた喜びで、心の中ではガッツポーズでした。
↓Youtube【Soul Asylum - Misery】
②個性的なデイヴ・パーナーの歌声
ボーカルのデイヴ・パーナーの鼻にかかった、ちょっとビブラート気味の繊細で切なげな歌声。
歌がうまいとか、きれいな声質という感じではないかもしれない。
だけどこの個性のある声も、玉石混交の時代にソウル・アサイラムが他のバンドに埋もれてしまうことなく活躍することができた要因の一つなんだと思います。
Aメロ、Bメロではギターの旋律がとにかく感傷的で、サビに入ると急にハードになるギターリフも私好みのアレンジでした。
レディオヘッドの歴史的名曲「Creep (クリープ)」もサビ前まではただひたすらに嫋(たお)やかで、サビに入った瞬間パワフルで切なげなギターサウンドにギアチェンジするところが印象的。
かなり強引に例えるとすれば、最初「ミザリー」を聴いた時のイメージはそれに近いものがあるかもしれません。
ただ、「クリープ」のようなサビ前の爆音のようなギターのミュートカッティングだとか、ギターの音に溺れて沈んでいくような感覚は「ミザリー」にはないですけどね。
③かなり独特な表現の歌詞
歌詞の表現は独特です。
お互い惨めな気持ちでいれば僕たちはずっと付き合っていくことができるよね…みたいな感じの基本ネガティブな歌詞。
日本語で言うところの『類は友を呼ぶ』的な感覚に近いものがあるのかな?
『僕たちは工場を建てて惨めさを作っていくこともできる』
『僕たちはこれから惨めさを作っていくことで忙しくなるだろう』
とか、陰鬱で言い回しも個性的な部分が多いですね。
でも『惨めさから僕を救ってほしい!』って叫んでるサビは、ただただネガティブな歌詞ではなく光を求めてあがいてる感じもします。
歌詞でいまいちピンとこなかったのはサビ前とラストで何度も繰り返される、Frustrated Incorporated って部分。
Frustratedは『挫折』『失望』とかって意味で、Incorporatedは『会社』というような意味。
歌詞カードに付いている日本語訳はそのまま『失望株式会社』みたいな訳し方をしていたような気がします。
メロディが良くて英語だとカッコよく聴こえるけど、日本語に訳して歌うと少し違和感を感じてしまう曲かもしれません。
↓「Misery」 Songwriter(s) - Dave Pirner
They say misery loves companyWe could start a companyAnd make misery
惨めさを作りだすこともできるかもしれない
Frustrated Incorporated
失望製造会社
Well I know just what you needI might just have the thingI know what you'd pay to see
キミがそれを見るために代償にするものも俺にはわかるんだ
Put me out of my miseryI'd do it for you, would you do it for me?We will always be busymaking misery
惨めさを作りだしていくことでね
We could build a factoryAnd make miseryWe'll create the cureWe made the disease
病気を生み出したのは俺たちなんだから
Frustrated IncorporatedFrustrated Incorporated
失望製造会社
Well I know just what you needI might just have the thingI know what you'd pay to feel
キミがそれを感じるために代償にするものも俺にはわかるんだ
Put me out of my miseryAll you suicide kings and your drama queensForever after happilyMaking misery
惨めさを作りだしながらね
Did you satisfy your greedGet what you need?Was it only envy?So empty
とても虚しいことだよな
Frustrated IncorporatedFrustrated Incorporated(Put me out of my misery)Frustrated Incorporated(I'd do it for you, would you do it for me)Frustrated Incorporated(Forever after happily)(I know just what you need)
(俺にはキミが必要としているものが分かってる)
Frustrated Incorporated(Put me out of my misery)(I might just have the thing)Frustrated Incorporated(Put me out of my misery)(I know just what you need)Frustrated Incorporated
失望製造会社
④最大のヒット曲「Runaway Train(ラナウェイ・トレイン)」
ソウル・アサイラムが一躍有名になったきっかけは「Runaway Train(ラナウェイ・トレイン)」という曲。
1992年にリリースされた6枚目のアルバム「Grave Dancers Union(グレイヴ・ダンサーズ・ユニオン)」に収録されたこの曲は、全英、全米ともにトップ10入りの大ヒットを記録しました。
しかし、たぶんこの曲がヒットした理由は曲の良さだけではありません。
「ラナウェイ・トレイン」のPVは、誘拐や家出で行方不明になっている子供たち本人の映像が名前、行方不明になった年と一緒に映し出されるというセンセーショナルな内容でした。
このことも大きな反響を呼び、曲がヒットしてPVが流れることが多くなった結果、PVに表示されていた電話番号にたくさんの通報が来て多くの子供の所在が判明。
音楽が具体的な形で人を救ったっていう意味でも名曲だと思います。(※現在のYouTubeオフィシャルPVでは電話番号表示はカットされてるみたいです)
↓Youtube【Soul Asylum - Runaway Train】