①ボストンは1970年代~80年代にかけて…

ボストンは1970年代~80年代にかけて特に人気を集め、多くのファンを獲得したアメリカのプログレッシブ・ハードロックバンド。

曲の良さだけでなく、アルバムをリリースするまでの間隔がかなり長いことでも有名ですね。

デビューアルバム「幻想飛行」から4thアルバム「ウォーク・オン」まで、4枚のアルバムを発表するまでにかかった年月はなんと18年。

 

  • 1976年 -「Boston(幻想飛行)」… 全米3位 2000万枚
  • 1978年 -「Don't Look Back」… 全米1位 800万枚
  • 1986年 -「Third Stage」… 全米1位 400万枚
  • 1994年 -「Walk On」… 全米7位 100万枚

 

1stから2ndリリースまでの期間は2年なのでむしろ早いくらいだけど、そこからが驚き。

2ndから3rdアルバムまでは・・・12年。

3rdから4thアルバムまでは・・・8年。

確かマイブラが2ndからの3rdアルバム発売までに22年近くかけてるけど、まあマイブラの場合は2ndでレーベルを倒産に追い込んでたりとちょっと例外みたいなところがあるんで、やっぱりボストンは異質かも。

 

 

「A Man I'll Never Be(遥かなる想い)」は1978年リリースの2ndアルバム「Don't Look Back」の4曲目に収録された曲。

儚くも力強いピアノの音色。ブラッド・デルプのクリアなハイトーンボイス。コーラス前の泣きのギター。荘厳さを感じさせるオルガンの音色。感動する要素がギッシリ詰め込まれた涙腺崩壊プログレ系バラードです。

この曲が好きじゃなければ洋楽ロックバラード好きは公言できません。

 

トータルの演奏時間は6分40秒。歌詞のボリュームからすると長尺な曲かもしれません。

が、「名曲は時間を感じさせない」とはこの曲のためにある言葉だと言っても良いくらい、体感的には短く感じると思います。

こんなにドラマチックでスバラシイ曲なのに全米チャートは31位止まりって…そんなバカなですよ…。

Youtube【Boston - A Man I'll Never Be (Official Video)】

 

 

②歌詞と和訳

この曲の歌詞の好きなところ、それは女々しい歌詞。

まだ彼女のことが好きで好きでたまらないのに別れを決断せざるをえない男の切なさで埋め尽くされてます。

「これ以上は強くはなれないよ…」

「僕が努力してきたことなんて君には伝わらないんだ…」

私自身が女々しい男なんで、歌詞がドンピシャすぎてもう涙で世界が見えません。

 

Songwriter - Tom Scholz

If I said what's on my mind
You'd turn and walk away
Disappearing way back in your dreams
It's so hard to be unkind
So easy just to say
That everything is just the way it seems
僕が今の気持ちを伝えたら
キミは振り向いてそのまま去ってしまうのか
キミの夢の中に消えてしまうのか
冷たい男だと思われるのは辛いよ
言ってしまうのはとても簡単なんだ
目に見えていることが今の全てだってことをね
You look up at me
And somewhere in your mind you see
A man I'll never be
If only I could find a way
I'd feel like I'm the man you believe I am
And it gets harder every day for me
To hide behind this dream you see
A man I'll never be
キミは僕を見上げて
心のどこかに浮かべている
僕が決してなることのできない理想の男を
もし方法を探すことができれば
キミが信じる僕になれる気がするのに
日が経つにつれ難しくなっていくんだ
キミが見ている夢から隠れることが
僕はキミが思うような男にはなれないのさ
I can't get any stronger
I can't climb any higher
You'll never know just how hard I've tried
Cry a little longer
And hold a little tighter
Emotions can't be satisfied
今より強くなることはできないし
これ以上はもう登れない
キミが知ることはないだろう
僕がどれだけ頑張ってきたのかを
もう少しだけ長く泣いていても
もう少しだけ強く抱きしめていても
気持ちが満足することはないのさ
You look up at me
And somewhere in your mind you see
A man I'll never be
If only I could find a way
I'd feel like I'm the man you believe I am
And it gets harder every day for me
I can't keep hidin' this feeling
キミは僕を見上げて
心のどこかに浮かべている
僕が決してなることのできない理想の男を
もし方法を探すことができれば
キミが信じる僕になれる気がするのに
日が経つにつれ難しくなっていくんだ
この感情を隠し続けることなんてできないよ

 

 

ボストンは大衆受けしやすい曲が多かったことで、ジャーニー、TOTOなどのバンドと共に「産業ロック」と批判を受けることも。

きちっとカテゴライズするとすれば「プログレッシブロック」ということみたいだけど、地元のレンタルCDショップではポップのコーナーに置いてあったような。

高校生の頃にそのレンタルショップで2ndアルバム「ウォーク・オン」を借りた記憶はあるんです。

だけど若い私はプログレチックな曲が好きじゃなかったからなのか、たぶん冒頭の1、2曲目くらいで聴くのをやめてしまったんですよ…。

だからこの時は4曲目の「A Man I'll Never Be」までは聴いてなかったんじゃないかな?バカヤロウですね(笑)

 

で、歳をとるにつれて好みも変わっていって、もっといろんなジャンルの曲を聴いてみようと思い始めて。

それで色々と洋楽を聴き漁っていた1994年、たまたまラジオで耳にしたボストンのニューシングル「I Need Your Love」。

これがまたプログレの綺麗なメロディラインとキャッチーさを良いとこどりしたような、重厚なのに聴きやすい良い曲で…。

Youtube【I Need Your Love】

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ワーナーミュージックジャパン

あれ?ボストンってこんなに良いバンドだったのか???

ってことであの時ちゃんと聴かなかった2ndアルバムを改めて聴いてみたらもう、目からウロコが落ちまくり。

「A Man I'll Never Be」にたどり着くまでにずいぶん遠回りをしてしまった…oh。

 

 

③トム・ショルツはほとんどの楽器を…

ボストンのフロントマン、トム・ショルツはほとんどの楽器を自分で演奏できるスーパーマルチな才能の持ち主。

デビューアルバムのデモテープは彼がその演奏のほぼすべてを一人で担当し、ボーカルだけブラッド・デルプに歌わせるというレコーディングスタイル。

 

しかし、ライブを行うことでアルバムのプロモーション活動を行い、売り上げにつなげるというのが当時の主流。

レコーディングはトム・ショルツとブラッド・デルプさえいれば可能かもしれないけど、ライブは2人だけではちょっとキビシイ。

ということで、もともとはライブをやるためだけに他のメンバーは集められたそうで、実質的にはトム・ショルツのソロプロジェクトみたいなものだったらしい。すごいですね…。

 

ただ、残念なことにボーカリストのブラッド・デルプは2007年に一酸化炭素中毒で自ら命を絶っています。

「A Man I'll Never Be」リリース時に死ぬことを考えていたかどうかはわからないけど、自死したブラッド・デルプの苦悩を思いながら聴くと、猛烈に切なく哀しい曲に思えて仕方ありません。

 

 

④小田和正さんが作詞作曲した…

小田和正さんがオフコース時代に作詞作曲した1979年の曲「愛を止めないで」は、ボストンの「A Man I'll Never Be」に影響を受けて作られたと言われています。

「愛を止めないで」も感動的ではあるけど、かなりポップで爽やかな曲で、重厚という感じではないですね。

でもなんとなく、Aメロだったり、所々に挟み込まれるギターソロだったり、そこかしこに似てる部分はあるような気がします。

もしかしたら偶然似てしまっただけなのかもしれないけどもし事実なんだとしたら、こんなに「A Man I'll Never Be」を自分流に活かしてしまう小田和正さんもやはり天才ですね。