①ベストアルバムで4つの新曲を…

イーグルスが再結成を果たしたアルバム『Hell Freezes Over』(1994年)で、新曲4曲を披露した翌年。グレン・フライもまた、自身のベストアルバム『Solo Collection』(1995年)で4つの新しい楽曲を発表しました。

そのうちのひとつが、「This Way to Happiness」。

幸せへと続く道がどこにあるのかわからず、孤独を抱えながら悶々とした日々を過ごす一人の男。そんな彼がようやく“幸せ行きの列車”を見つけて、「君」と二人で乗り込んでいく――。

 

まるでそんな情景が浮かぶような、軽やかなビートとR&Bフレイヴァーをまとったロマンチックな曲。

イーグルスが“再出発”を果たしたように、グレン・フライ自身もまた、ここで新しい旅に出た。「This Way to Happiness」は、そんな彼の“始まり”を感じさせる一曲です。

 

Youtube【This Way To Happiness】

 

 

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Songwriter(s) - Glenn Frey / Jack Tempchin / Jay Oliver

Way outta town on some midnight highway
Headed nowhere, was just drivin' by myself
The night was cold, the wind was blowin'
Me, I felt like I was someone else
真夜中のハイウェイをひとりで走ってた
行き先なんて決めてない ただ走っていたくて
風は冷たくて街の明かりはどんどん遠ざかっていく
自分が誰なのかさえよくわからなくなってた
I was achin', I was alone
No destination, so far away from home
Suddenly I find myself callin' to the heavens above
Please send me someone to love
胸の奥がズキズキして、どうしようもなく寂しくて
行くあてもなく車を走らせながら、
気づいたら空を見上げて祈ってたんだ
――どうか愛せる人と巡り会わせてほしい
Which way to happiness? Over the mountain
Which way to freedom? Just across the sea
Lord, I been searchin' for what seems like forever, now
Which way to happiness for someone like me?
幸せへの道は、あの山の向こう?
自由への道は、海を越えた先?
気づけば、どれくらい探してきたかわからない
終わりの見えない旅みたいにずっとさまよってきた
俺みたいなやつにも幸せの行き先があるんだろうか
It seems like I spend my whole life runnin'
Runnin' away from what I couldn't be
Down some endless road just south of nowhere
Always movin' but never really free
思えばずっと逃げてきたんだと思う
なりたかった自分からも、なれなかった自分からも
どこまでも続く道を南へ走りながら
動いているのに、自由になれない――そんな感覚を抱えてた
I had a dream, I said a prayer
Just like the answer, you were standin' there
The neon sign that was fifteen stories tall
I could hear the angels call
ある夜、夢を見た
祈りを捧げたそのすぐあとで、キミがそこに立ってた
高く光るネオンが夜空に溶けていく
その光の中でまるで天使みたいにキミがいた
その瞬間、心の奥で何かがほどけていくのを感じたんだ
This way to happiness, the train is leavin'
Over the mountain, headin' to sea
Highway to freedom is when you start believin'
This way to happiness, you and me
きっとこれが“幸せへの道”
列車は走り出した
山を越え、海の向こうへ向かっていく
自由へのハイウェイを進むのは、
キミが“信じよう”と思えたその瞬間なんだ
I've rolled this rig from coast to coast
I've seen alot, I've done more than most
I was like a sailor lost at sea
When, like an angel from above,
You came down and rescued me
俺は海岸から海岸へ車を走らせてきた
いろんな景色を見て、たくさんのことをやってきた
海で迷った船のような俺の前に
天使みたいにキミが降りてきて、救ってくれた
This way to happiness, the train is leavin'
Over the mountain, down to the sea
The highway to freedom is when you start believin'
This way to happiness, you and me
これは“幸せへの道”列車はもう出発している
山を越え、海へと向かう
自由へのハイウェイを走り出すのは
キミが信じようと思えた瞬間なんだ
――キミと俺の、幸せへの道

 

 

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③「Take It Easy」「Lyin' Eyes」など…

アメリカが生んだ偉大なロックバンド、イーグルスのボーカリスト兼ギタリスト、グレン・フライ。彼は「Take It Easy」「Lyin' Eyes(いつわりの瞳)」「New Kid in Town」「Tequila Sunrise」など、数々の名曲でリードボーカルを務めました。

一方で、イーグルスというともう一人のボーカリスト、ドン・ヘンリーの印象が強い人が多いと思う。まぁ当然といえば当然ですよね。「Hotel California」でボーカルとドラムを担当していたドン・ヘンリーは、“ボイス・オブ・イーグルス” “ボイス・オブ・ホテル・カリフォルニア”と呼ばれるほど存在感が大きかったわけですから。

 

 

そんな中で「This Way to Happiness」は、見落とされがち(?)なグレン・フライの才能を感じさせてくれる曲。

ドン・ヘンリーが社会的なテーマや内省的なメッセージを描いていたのに対し、もっと軽やかで洗練されたポップ・センスを前面に出していたグレン・フライ。

この曲もまさにそんなスタイルで、爽やかさとR&Bの心地よさが絶妙に混ざり合った佳曲。サビに向かって少しずつ盛り上がっていく構成で、「ここがサビだ!」って誰が聴いてもわかるような明快さ、軽快さも魅力。

イーグルス時代の “メロウで温かい声” “都会的でちょっと切ない曲” のような雰囲気ではないけれど、抜群にキャッチーで、たぶん日本でも受け入れられやすいタイプの曲なんじゃないかな。

サビは爽快さもあって、ビールのCMで流れていてもしっくりくると思いません?

 

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