曲のタイトル、In My Defence は『言い訳になってしまうけど』『自己弁護になってしまうけど』という意味。

直訳すると『私の防御で』みたいな変な日本語になってしまうので気を付けて下さい…。

 

 

In My Defence はフレディ・マーキュリーのソロの曲。

1986年のミュージカル『Time』で使用された曲をベースにしたコンセプトアルバムに収録されています。

だけどフレディ自身はミュージカルに出演していません。

このミュージカルは、現代のロックミュージシャンであるクリス・ワイルダーがバックシンガーやバンドと共に自分たちの星(地球?)を守るために戦うというストーリーの近未来SF。

 

「僕は歌と共にあるだけのシンガーさ

どうすれば間違いを正すことなんてできるんだ?」

 

と歌われるサビはミュージカルのストーリーになぞらえた歌詞になっているだけじゃなく、フレディ・マーキュリー自身の心情を歌っているようにも聴こえてくる。

感情をダイレクトに揺さぶられるほど情熱的で美しく、凛とした強さを感じる唯一無二のパフォーマンス。

当時のフレディが直面していたであろう困難や葛藤を想像しながら聴くと、なおさら心に染みるものがあります。

 

↓Youtube【Freddie Mercury - In My Defence (Official Video Remastered)】

 

フレディがHIVの検査を受けたのが1986年の10月。そして1987年の4月には感染を自覚していたそうなので、1986年にリリースされている In My Defence はHIVウイルス感染の直前に収録された曲なのかもしれません。

この時点ではまだHIVウイルスに感染しただけの状態で体調は悪くなっていなかったからなのか、この曲でもクイーンでのオペラヴォイスそのままの圧倒的な歌唱力は健在。

美しいピアノのイントロ、そして絶唱と表現するにふさわしいフレディ渾身のボーカルが心に深く突き刺さる大感動のバラードになっています。

 

 

だけど実はこの曲、フレディが作った曲じゃありません。

他のソングライターが書いた曲でもフレディが歌えば簡単に完全に自分のものにしてしまう。

不世出のボーカリスト、フレディの類まれなる才能が見事に証明された曲ですね。

 

↓Songwriter(s)【Dave Clark , David Soames , Jeff Daniels】

In my defence what is there to say
All the mistakes we made must be faced today
It's not easy now knowing where to start
While the world we love tears itself apart
I'm just a singer with a song
How can I try to right the wrong
For just a singer with a melody
I'm caught in between
With a fading dream
In my defence what is there to say
We destroy the love - it's our way
We never listen enough never face the truth
Then like a passing song
Love is here and then it's gone
I'm just a singer with a song
How can I try to right the wrong
For just a singer with a melody
I'm caught in between
With a fading dream
I'm just a singer with a song
How can I try to right the wrong
I'm just a singer with a melody
I'm caught in between with a fading dream
Caught in between with a fading dream
Caught in between with a fading dream
Oh what on earth
Oh what on earth
How do I try
Do we live or die
Oh help me God
Please help me
何を言っても言い訳になってしまう
僕たちは犯した過ちに目を向けなければならないんだ
どこから始めればいいのか簡単にはわからない
僕たちが愛する世界が自らを引き裂いていく中で
僕は歌と共にあるだけのシンガーさ
どうすれば間違いを正すことなんてできるんだ?
メロディと共にあるシンガーのために歌うのさ
僕はその狭間に立っている
消えゆく夢を抱きながら
何を言っても言い訳になってしまう
僕らは愛を壊したんだ - それが僕らのやり方だった
十分に耳を傾けず、決して真実を直視しようとしない
過ぎ去って行く歌のように
愛はここにあって、そして消えていく
僕は歌と共にあるだけのシンガーさ
間違いを正すために何をすればいい?
メロディと共にあるシンガーのために歌うんだ
僕はその狭間に立っている
消えゆく夢を抱きながら
僕は歌と共にあるだけのシンガーさ
どうすれば間違いを正すことなんてできるんだ?
僕はメロディと共にあるただのシンガーなんだ
僕はその狭間に立ち、薄れゆく夢を抱きしめる
狭間で薄れゆく夢を抱きしめている
狭間で薄れゆく夢を抱きしめている
一体どうしたらいい?
どうしたらいいんだ?
僕らは生き続けるのか、それとも死んでしまうのか
おお、神よ僕を救いたまえ
どうか僕を助けて下さい

 

 

In My Defence はフレディの死の翌年、1992年にリミックスバージョンがリリースされた際にUK8位のヒットを記録。

こんなにドラマチックで感動できる曲でありながら1986年の発売時にはヒットしてないっていうんだからビックリです。

 

 

そしてさらに感動的なのがフレディの死後作られたというミュージックビデオ。

クイーン時代を含めた過去のミュージックビデオのアウトテイク、プライベートショットなどを使用した映像になっています。

フレディが楽しい時間を幸せそうに過ごしているシーンに涙腺はあっけなく崩壊してしまうことでしょう…。

だけどたぶん、クイーンが好きでもこの曲は知らないという人は結構多いと思う。

1度聴いただけで脳の一番深いところに記憶されるほどの名曲なのにテレビやラジオで耳にする機会はあんまりないんだよなあ…。