①1998年、それは…
1998年。それは多彩な洋楽が毎日を彩ってくれた、私にとって忘れられない年。
シンディ・ローパーの原曲にフィル・コリンズが新たな息吹を吹きんだ感動のバラード「True Colors」のカバーはこの年に発表された。
個人的な思い出補正もあるかもしれないが、フィル・コリンズの「True Colors」は、原曲への敬意と、自身の音楽性を融合させた新たな芸術作品。
原曲の良さを最大限に引き出しつつ、彼自身のカラーを見事に表現した、カバーソングの成功例だと思う。
1998年という多感だった時代の風景や、感傷的な記憶を思い出させてくれるこの曲への思い入れはひとしおだ。
Youtube【Phil Collins - True Colors (Official lyric video)】
②歌詞と和訳
Songwriter(s) - Tom Kelly, Billy Steinberg
You with the sad eyesDon’t be discouragedOh I realizeIt’s hard to take courageIn a world full of peopleYou can lose sight of it allAnd the darkness inside youCan make you feel so small
But I see your true colorsShining throughI see your true colorsAnd that’s why I love youSo don’t be afraid to let them showYour true colorsTrue colors are beautifulLike a rainbow
Show me a smile thenDon’t be unhappy, can’t rememberWhen I last saw you laughingIf this world makes you crazyAnd you’ve taken all you can bearYou call me upBecause you know I’ll be there
And I’ll see your true colorsShining throughI see your true colorsAnd that’s why I love youSo don’t be afraid to let them showYour true colorsTrue colors are beautifulLike a rainbow
So sad eyesDiscouraged nowRealizeIf this world makes you crazyAnd you’ve taken all you can bearJust call me upBecause you know I’ll be there
And I’ll see your true colorsShining throughI see your true colorsAnd that’s why I love youSo don’t be afraid to let them showYour true colorsTrue colorsTrue colors are shining through
I see your true colorsAnd that’s why I love youSo don’t be afraid to let them showYour true colorsTrue colorsTrue colors are beautifulBeautiful, Like a rainbow
③初めて聞いたフィル・コリンズの…
初めて聞いたフィル・コリンズの曲、それは「True Colors」が聞けるベストアルバムにも収録されている「One More Night」だった。
中学時代に音楽の授業で聞いて感動した「We Are The World」だけを目当てに購入したオムニバスアルバムで出逢った、甘く、しっとりとしたこの大人のラブバラードに、まだ恋を知らなかった私の心は一瞬で虜になった。
全夜の静けさの中で一人、過去の恋を回想するような切ない歌詞と、フィル・コリンズの情感豊かな歌声が絶妙に重なり合うこの曲が、米1位、全英4位というヒットを記録したのも納得できる。
フィル・コリンズは元々、プログレッシブ・ロックバンド『ジェネシス』のドラマーだった。ジェネシスは、『イエス』や『キング・クリムゾン』と並び称されるバンドだが、ジェネシスはそれよりも一般受けしやすい印象だろうか。
プログレッシブ・ロックは、先進的、前衛的なジャンルのロックで、演奏時間が長い大作が多く、クラシックなどの構成を取り入れた難解な楽曲や、シンセサイザーなどの最新技術を使った高い演奏技術が特徴だ。
ジェネシスは、そんなプログレバンドの中でも、比較的ポップで明るい楽曲が多かったと言えるだろう。
しかし、当時の僕はプログレがあまり得意ではなかったので、断然ソロ活動後のバラードシンガーとしてのイメージが強く残っている。
ジェネシス時代の複雑な楽曲構成と、ソロになってからの耳なじみが良く感情豊かな楽曲とのギャップは、彼の音楽家としての多面性を物語っていると思う。
特に、ジェネシス時代の曲「Invisible Touch」とソロで発表したバラードを聴き比べると、その違いに驚かされる。
④80年代洋楽ファンなら誰もが…
80年代洋楽ファンなら誰もが知るシンディ・ローパー。
「True Colors」は、彼女が1986年に発表した2ndアルバムのタイトル曲であり、1stシングルでもあった。全米チャート(ビルボードホット100)で2週連続1位、全英シングルチャートで12位を記録した、後世に残すべき名曲だ。
『あなたの真実の色は虹のように美しい、だからそれを見せるのを恐れないで』と、聴く者の背中を優しく押してくれるようなメッセージが込められている。
このフィル・コリンズのカバーバージョンをプロデュースしたのは、Boyz II Menの「End of the Road」を手掛けたベイビーフェイスだ。
ジョージ・ベンソンやグローヴァ―・ワシントン Jr.にも通じるスムースジャズやフュージョンの要素を取り入れ、原曲とは異なる魅力を引き出している。
ベイビーフェイスが参加したコーラスも、フィル・コリンズの歌声と心地よく調和している。
原曲よりも音の厚みとテンポがあるフィル・コリンズの「True Colors」の方が、個人的には好みだ。